妖怪の気持ち

人型が何か言っているよ。妖怪になりたいんだって。

バイバイバイ



早々にきた


バイバイときた


ほんの少し隆起していた細胞膜


はじけてきえた




涙がでた


あなたが、死んでしまうと泣くことはあった


縫い目が引きちぎられて皮膚がめくれている




髪を縒って縒って、縒ってさ贈った


こんなものしかなかった




あなたが首に巻き付いて


心臓を掴み殺してさえいれば


それだけでよかった




バイバイと、バイバイときた


全身で受け止めて熱湯に浸かる


ぐちゅぐちゅのトマトになっても


容器の栓を開けられない




もう少し、だけあたためてほんの、もう少し


蒸発していくのを見つめていて


あなたの身体を蝕む、のはわたしだと思い知らせて








以上の思考をわたしとする




逸脱した宝玉を産み落とす


のびのび育て


おれはもう野放し手放し打つ手なしだ




毒親の気分がする


吐きそうだ




自分ので手いっぱいのお前に


おれの胃液を注ぎ込む


お前に飲まされたほんの少し




どうして誰も殺してくれないんだろう


お前は仕組みも働きも死にたがっているのに


健気に生き生きとしている


どうして誰も殺してくれないんだろう





おれは死に、たいのだなあって納得した


セックスの後に緩く首を絞めるくらいなら


どうして殺してくれなかった





お前は救済を望んでいて


誰よりも人間のカタチをしている


世の中にはバケモノしかいないってのにね




これはお前の首に真綿を敷き詰める行為だろうか


これはお前の股を裂くことはできるか


おれの首はもげるか


膣壁を押し上げるのは最早指ではなくなった




金がほしい


お前を捨て置けるだけの金が


宝くじが当たったら漏らしてしまうのかね




今日も熟れたトマトは潰される


時に爪で、裂かれ時に吐き出され、時に塞がれる





おれは現実に投げ込まれ着地する


非日常は楽しかった


じゃあな、バイバイ